2010年(アメリカ) ダーレン・アロノフスキー作
プリマドンナを夢見てダンスに生きる少女の苦悩と可能性を描いている。
芸術創作というには、過酷な現実と仲間たちの狭間で次第に狂気へと闘いながらも
夢への可能性を胸に打ち進んでいく様を描いている。
葛藤の表現が鋭くよく表現されている。
驚くのはストーリーがいわゆるサイコスリラー的な要素があることだ。
これには驚かされたし必要性も考えさせられた。
自分の妄想から生み出される魔物(ここではブラックスワンだろう)に狂気となっていく様は
アンジェイ・ブラウスキー作「ポゼッション」とだぶる感覚がある。
(こちらはサスペンススリラーといってよいだろう)
視点をかえれば表現しやすいだろうが演じる俳優の技量が問われるはず。
主演のナタリー・ポートマンはその役を見事に演じ観客を魅了したことは間違いないだろう。
彼女はこの作でアカデミー主演女優賞を得ている。
全編そのような緊張感の中に観る者を引きずりこむ手法はさすがというべきか
少々疲れ気味になる最後に天空からさす美しい光で主人公ともども救われる感が一番印象に残る!(sim)