Archive for the ‘映画雑観’ Category

英国王のスピーチ

2010年(イギリス・オーストラリア) トム・フーバー作

DENKIKANに来た。

当時はあたりに映画館というといくつもあったのだが今ではここだけとなった。

以前の面影が多少残る中、ほとんどが改装され今風の趣となっている。

上映する作品はいずれも興味をひかれるものが多く渋谷のシネマライズ(地下)や

六本木のJ-WAVE(ヒルズではなく当時のJ-WAVEビル地下)あたりといった趣だろうか。

確かに熊本は

映画好きの人にとっては文化度が低い地域であることは間違いない。

しかし昨日見た作品は、そんなことなど気にすることなく

スタート時点から引き込まれるものとなった。

一人の苦悩する英国紳士の味わい深いストーリーとカメラワーク

(ミケランジェロアントニオーニ作品とまではいかないものの)

室内カット割りやデザインなどいずれも一流であることは間違いない。

もどかしささえ覚える主人公に共鳴していきながらも

最後にはお互いがすがすがしい気持ちや笑いに変わることなどは感心するばかりでる。

「英国王のスピーチ」は、とても有意義な時間となった(sim)

ゴッドファーザー

1972年 アメリカ フランシス・フォード・コッポラ作

陰影の美しさはを見張るものである。

映像というだけでなく心情的な内面の葛藤もよく見いだされ表現されている。

とくに冒頭における娘の結婚式の様子は印象に残る。

イタリアンマフィアという家系のなかにも人並みに太陽も当たり輝くさまはいたって普通。

そればかりか家族の絆に至ってはとても深くこころ動かされ場面もあるから不思議である。

幸せな暮らしの歯車が少しずつ狂い

混沌とした社会と情勢に飲み込まれていく様と自然にマフィアのドンとなっていく青年の心情は

何度見ても考えさせられる。

やはりこの作品には他にはない魅力と俳優陣の力量を感じ得ないばかりである。

監督のコッポラに至ってはこの作品を機に成長しながら「地獄の黙示録」へと進んでいく。

音楽・俳優・脚本・構図など・・・どれをとっても今では表現できない魅力満載の作品だろう(sim)