Archive for the ‘映画雑観’ Category

かぞくのくに

2012年 日本 監督:ヤン・ヨンヒ

25年の歳月が経ち北朝鮮から一時帰国する在日コリアンの青年。

全編にどことなく暗い影をおとしながら子を想う肉親・兄を想う妹の慈愛と切なさを感じます。

(私たちにとっては考えれば考えるほどわからなくことばかりです)

当時「理想郷」とよばれた北朝鮮・アメリカ資本のなかで暮らす日本人

そして在日コリアン世界が切り取られ「あの国」へ行くことを決めた青年の葛藤描写が

心をうちます。

時間が止まり青春がとまった青年の口から「白いブランコ」という懐メロが流れるあたりは

時の残酷さを垣間見ることでしょう。

この作品のヤン・ヨンヒ監督自身も在日コリアンとして日本で暮らし映画活動をしているとのこと。

本人一作目の発表で兄の住む北朝鮮に渡ることが出来なってしまったこと。

そんな家族に会いたい気持ちすべてがこの作品に詰まっているのでしょうね。

ラストシーンにおける描写はまさにそれなのでしょう。

前回観たアメリカ作品における「幸せ」の物差しがこれほどの違い

自由や思想といった観えないボーダーラインがはたしてあるのか無いのか

必要なのかどうなのか?改めて考えさせられる夕べとなりました(sim)

テイク・ディス・ワルツ

2011年 カナダ 監督:サラ・ポーリー

とても幸せに満ち満ちた時間を過ごすことができました。

全編からあふれる美しい幸せを半端なく繊細に描ききったラブストーリーは

素晴らしく考えさせられる一遍なのでしょう。

日常の暮らしの中を流れる心情がとても細かい描写で

映し出されているところなどが他に類をみない感じです。

今回は、自然体における熱演?が気になる俳優セス・ローゲン(宇宙人ポールや50/50)が

出演しているということもあり期待しながらの観賞です。

当たり前ながら幸せを感じる気持には、人それぞれモノサシが違うことや

パートナーを想う自分の気持ちを伝えるのが下手だったりと

女優のミシェル・ウィリアムズも見事に表現していたのには驚くほどです。

「人生は物足りないくらいが丁度いい」

などと印象にもこるセリフもあったりといろんなことを考えさせられます。

家族や友人そしてパートナーに囲まれながらどこかに寂しさを感じ得てしまった自分

が出した結果の果てに大切なモノを手放しやっと気付く。

本当に自分を想う人は身近にそっと寄り添っているものなでしょう。

そんな揺れ動く心をスクリーンに写し撮ったいい映画でした(sim)

バイオハザード5

2012年 アメリカ 監督:ポール・W・S・アンダーソン

2002年にシリーズ化され10年が経ちます。

主役の女優も段々レプリー化の一途を辿っているようで、なんとなくもの悲しい。

ま~それをわかっておきながらシアターに行く私も、どんなものなのか?(笑)

クローンやアンデット・それにゾンビといったクリーチャー化した怪物がいっぱいでいて

1作目の近未来SFちっくなアクションムービー的路線も

この作品できっぱりすっきり路線変更です!

ゲームシナリオから生まれたこともアリやっぱり限界でしょうか?

それに誰よりも素早く走るゾンビをみながら苦笑の連続!には困ったものですね(笑:sim)

コロンビアーナ

2011年 アメリカ・フランス 監督:オリビエ・メガトン

うすうすわかっているもののキャッチにつら観賞することに・・・・・!

言うまでも無く想像通りの出来栄え・・・・・!

(意外とミーハーなんでしょうね:笑)

「ニキータ」「レオン」とくれば「カトレア」ではなく何故か「コロンビアーナ」

やはりプロデュース的大人の都合があるんでしょう!

むしろアリエル・セトゥンが気になる所です。

SF・アクション・サスペンスそれにホラーなどいろんなジャンルがある中で

意外と好きなジャンルかもですね。

そういえばレオンの続編ともいえるストーリーやシチュエーションはマチルダ的ヒロインに

繋がるのしょうか?

ところどころに見せるカットが意外と魅せる悩ましい一作と感じたのも本当でしょう。

そんな複雑な気持ちになった深夜でした(想:sim)

プロメテウス(字幕)

声優のミスキャストを払拭すべくリベンジにやってきました。

最近は視力も落ちて字幕が見えにくいことや3D映像も重なり

特に吹き替え版などには、こだわりなく観賞するようになりました。

ただ今回に限って両方を見終わった後の感想はかなり違う印象をうけるモノでした。

昨晩、テレビで声優の山寺宏一さんが言っていた声優論(こだわり)が思い出されます。

様々なシチュエーションを想像しながら発する声には見る者を心地よくしてくれます。

改めて作品を考えるととても不思議な問題が新たに露呈した一作でしょう。

「謎」を解明することに主題をおくことはプリクェールの宿命とはいえ

どうしても前作に引っ張られるストーリーは期待していた通りではないでしょう。

次作の展開がとても気になります。

同時にLV223のその後やオープニングの謎もしかりでしょう。

出来れば今回のストーリーで完結してほしかったのは正直な気持ちでしょうか!

いずれにしろエリザベス・ショーが二人目のリプリーにならないことを祈りたいですね(sim)

プロメテウス

2012年 アメリカ 監督:リドリー・スコット

デュエリストから35年

数々の作品を見てきて今回も想像通りの造りとなっていました。

あらゆるところのデザインやカットなど目を見張る出来栄えです。

ジェームス・キャメロンのエイリアンシリーズ5作目を否定しながら

プリクェールに取り組んだことはファンとして大変興味があります。

いろんな疑問が解決していく中で新しい謎も出てくることは一層ワクワクしてしまうでしょう。

解釈の仕方などあまり理屈付けてしまうと面白さが半減するモノ。

第一作目と関連性があるモノののやはり別次元で楽しんだほうがいいと想います。

ただ残念なのは吹き替え版による失策ともいえるミスキャスト!

どうしてキャスティングしたのか?こっちの方が謎となり(笑)本編より気になってしまいます。

SF大作として大人の世界観に期待していた分、失笑ぎみ!

ちかく字幕版を観に行くことでしょう。

狭小空間による出来事から33年!

その前段には、人間の持っている「強欲」と「好奇心」とが垣間見えることでしょう(sim)

ベティブルー

1986年 フランス 監督:ジャン=ジャック・ベネックス

封切りしてから25年。

改めて観終わったあと「なぜ今になって・・・・?」という気持ちになりました。

リマスターということ以外当時の感動は薄れていたかのようです。

時代が変われば受け止める側も変わるというのは作品自体の資質によるものなのでしょうか?

(それともこちら側の変化でしょうか?)

全編にちりばめられた美しいスガタと二人の愛情!

ラストシーンにおける不可解なシチュエーション!

なんとも純文学的な純愛と後味の悪さとが跡を引く映像です。

けしてポスターから受ける印象とはかけ離れたストーリーは

こちらまでブルーにしてくれます。

前向きに生きる若者にとって一握りの幸せが失われたとき

やっぱり傍らで寄り添ってくれる人がいなければ弱さに負ける場合もあるのでしょう。

もしかして今の日本に生きる我々に警鐘を知らせていると思うのは深読みすぎでしょうか。

(多分違うとおもいたい:笑)

いずれにしても何か考えさせられた一時でした(sim)

トータルリコール

2012年 アメリカ・カナダ 監督:レン・ワイズマン

今ではカルトムービーとして扱われいるものの

当時はB級作品としては最高の出来栄えと思ったトータルリコール!

そのリメーク作品と知ればやはり気になるのは必至(笑)

前評判など気にすることなく観覧することに。

期待通り以上の出来栄えとアイデアそれにカメラワークの面白さなど

非常に楽しめた結果となった。

特に磁場高速をつかったカーチェイスは必見だろう!!

原作をモチーフにリメークされているとはいえ若干の修正をほどこし

シュワルツネッガー的アイドル路線ではないところもいい感じである。

どことなく近未来の世界などはブレードランナーを彷彿とさせながら

混沌とした世界観を創っている。

その他にも小道具やアクセサリーなどの創りこみはすごくよく出来ていて

デザインや色彩なども楽しめるだろう。

最近リメーク作品やプリクェール作品などよく耳にするが

シャイニング!キャーリーなども公開予定らしい!

いずれもヒット作品として知られているので期待したいところもあるモノの

行き場を失ったハリウッド的構想がすべて成功するとは言えない。

しかし今回のトータルリコールに至ってはそんなことも感じることなく

素直に楽しめた時間を過ごすことが出来た(笑:sim)

アベンジャーズ

2012年 アメリカ 監督:ジョス・ウィードン

アメコミヒーローが世界を救う!という展開は期待通りに人類(アメリカ人)を見事に助ける。

売られたケンカは・・・・という性分はいかんせん他の問題もはらむところはアメリカならではの解釈だろう!

しかしこれだけヒーロー集まれば

いったいだれが強いのか気になるのは本人たちならずとも気になる所(笑)

次第にストーリーとは別次元ですすむところなどは期待通りである。

主観的に見極めれば

ハンマー≫怪物≫神様≫ロボット≫超人≫弓人≫スパイ≫司令官・・・

といったところだろうか?(やっぱりハンマーが強かった:笑)

ただ、侵略に訪れた宇宙人の弱さにはいささか驚きながらも

四六時中たたかうシーンが流れ最後は疲れ気味となる。

お約束通りシリーズ化の臭いもさせてはいるがなかなか難しいところもあると感じる。

とくにエンドロール最後のシーンはそんな意味を感じる重要なシーンだろう。

ヒーローもあれだけ暴れれば疲労困憊するのは、しょうがないことだろう。(笑:sim)

きっとここが帰る場所

2011年 イタリア・フランス・アイルランド 監督:パオロ・ソレンティーノ

独特の演技を見せるショーン・ペン久々のスクリーンを観に行った。

自閉的な性格なのか屋敷にこもる元ロックシンガーを演じる怪優ぶりは期待通り。

たまに魅せるブルーアイの瞳も相変わらず引き込まれてしまう。

至って子供のころから成長が止まっているような考えや解釈の仕方には

理解しがたいところもあるものの

たまに魅せるイタズラ的行為にはいけないことと知りつつ笑ってします。

何やら団体で行進する人々に車で水をぶっ掛けたり・・・・・

(その後の一言がサイコー:笑)

青年との卓球勝負でズルしたりと・・・・

日常の暮らしからは想像できないくらいのちゃめっけには苦笑してしまう。

両親と別れて暮らす理由は今一わからないものの

父親との縁を切ったことに一切後悔もせず

流されるままに生きる悲しさをロードムービーとしてとらえている。

特に終盤における仕打ちはガツンとくるものがある。

人生は後悔の連続と言わんばかりに嫌なことを忘れ死んだように生きる人々を通し

自分もその仲間だということにわかっておきながら理解しないふりをしてきた自分に気づき

化粧を落として母親の下に帰るシーンなどは、泣ける!

そして母親に見せる屈託のない笑顔に最後は癒させれてしまう。

同時に美しい映像とともに流れるかっこいい音楽も一緒に味わえた作品となった(sim)