Archive for the ‘映画雑観’ Category

ロシアより愛をこめて

1963年 イギリス テレンス・ヤング作

冷戦時代を背景にイスタンブルで繰り広げられるストーリーは、

当時の街並みや文化などを見ることが出来て楽しい。

特に聖ソフィア寺院や地下貯水池などのシーンなどが組み込まれ観光さながらな雰囲気を味わえる。

いたって娯楽映画というレッテルがあるものの

007シリーズの中で一番好きな作品である。

社会背景やファッションなどをみても今では見ることのできないモノばかりだ。

シナリオも原作に基づき派手さはないもののこった演出が伺える。

このころからボンドガールというキャラクターが登場してくるが

この作品のヒロインは一番の人気らしい。

素直に見てもチャーミングで好感をもてるだろう。

やはりシリーズ作品というのは、3作品までが限界なのは当時も今も変わらないみたいだ(笑:sim)

アントキノイノチ

2011年 日本 瀬々敬久作

スクリーンで観たほうが断然気持ちが伝わる。

テーマもそうだが原作者(さだまさし)や俳優陣演じる個々の想いを聞きとるためには

DVDを介したテレビ画面では力不足だろう。

所々にちりばめられた叫びや緊迫感なんかは心に響くモノが有る。

最近「いのち」について様々な角度でテーマにした作品が多い。

日本映画固有のテーマと言っていいだろう。(また得意である)

困難やトラウマと向き合う時、個人がどう立ち向かうか?逃げるのか?

それとも他人事にしてしまうのか?

そんな現代社会の恥部を映画化している。

主人公演じる青年もそんな葛藤と持病によるコンプレックスとの狭間で相対して向き合う姿勢や

子供を失った女性の心情等、よくとらえられている。

「辛いから逃げる」のではなく「逃げるから辛くなる」といったところだろうか。

そんな日常茶飯事な毎日において皆感じる「イヤな事」を

一喝にて明るくする「一声」・・・・

それに笑顔する少女・・・・

そんな少女の「イノチ(笑顔)」が社会全体の皆と繋がりはじめ

「思いやり」への連鎖と移り変わっていって欲しい想いがよく表現されている。

ステキな金縛り

2011年 日本 三谷幸喜作

法廷中心の劇中映画と思いきやそうではない。

もちろん中核は一つの事件を巡る裁判となるのだが意外な方向に進んでいったり・・・(笑)

全編、笑泣きという感じだ。

観る限りどれだけのキャストが出ているのか見極めるのは難しいものの

エンドロールを最後まで見るのもおもしろい。

「悪人」の深津絵里が演じる女弁護士がストーリーが進むにつれて

自立していく様や時に見せるキュートな仕草は面白い。

落ち武者を演じる西田俊之のひょうひょうとした態度との対比や

ボケ・ツッコミの掛け合いは、絶妙(笑)

142分と長編ではあるもののあっという間に感じるだろう。

三谷幸喜監督作品は今回初めてみるが

「映画」というより「喜劇」といったところだろうか。

キャスティングはとてもしっかりしているものの

多数出演しているせいか、しっかりしすぎて大事なカラミが弱くなっている場面もある。

それでも事件解決に翻弄する女弁護士と汚名返上にかける落ち武者との

仲良くも助け合いながらのストーリーは、

へんなモチベーションで笑ってしまうほどよく出来ている!(sim)

カウボーイ&エイリアン

2011年 アメリカ ジョン・ファヴロー作

最近はやりの地球外生命体による侵略映画?

「アリゾナ決戦」っていうところでしょう(笑)

登場してくるカウボーイとアメリカンネイティブアパッチとがなぜか協力しながら戦って行く。

そこに列車強盗を狙う賞金首とすたれた町の保安官など・・・

入り乱れた戦いになぜか笑いが出てくるほど緊迫感はない。

ただ主人公の賞金首ダニエル・クレイグや町の有力者ハリソンフォードが

とってもカウボーイスタイルが似あっていてかっこいいのだ!

特にダニエルのしぐさやライフルさばきなどは、流石である。

途中からストーリーなど関係なくそっちの方ばかり観る次第(笑)

結果、映画という枠を飛び越え「西部劇活劇」となった感じだ。

しかし、ロケ中心に進む映像はとても美しくけしてスタジオ撮影でしか制作されない

昨今のハリウッド映画に対して一線を引き場面もある。

もっとネイティブアメリカンであるアパッチの勇士が見られればサイコーなんだけど・・・(sim)

::::オリヴィア・ワイルドとサマー・グローって瓜二つ::::

途中、ターミネーターっぽい演出は、爆笑ものです(笑)

一命

2011年 日本 三池崇史作

近頃、気になっていた作品をやっと観ることが出来ました(笑)

・・・・期待通り良い作品です。

「命をかけて問い正す」といったこころでしょうか?

もしくは主観的に「自らを問い正す」という意味でとらえるのもいいでしょう。

終始緊迫したストーリの中にチラリと見せる幸せでほのぼのとした風景やカット。

対比や比喩も素晴らしくとにかく、かっこいい!

(庭先で死んでいく猫とぶくぶく太った家猫など比較描写が面白)

もし自分がその立場であれば・・・・

「ただ春が来るのを待っているだけ・・・・」

そんな半四朗演じる海老蔵の一言が全てを語っているかのようです。

太平の世の中に人々それぞれが思い描いている些細な幸せ。

平時しか考えられないほどのカタチない風景はとても深くあたたかいものです。

慈愛に満ちた愛・・・・

生きるに大切な家族・・・・

武士ならばゆえの正義・・・・

しがみつきたい誇り・・・・

時代的なヒエラルキーは、現代にも通じるものがあり思えることもあるはず!

「一つの命」ではなく「命は一つ」というべきメッセージに

後半からは、劇場内すすり泣くばかりです。

いままでにこれほど武士を捉えた作品はないでしょう。

是非映画館で見なければいけない作品です(sim)

ちなみに原作をモチーフにした別作品「切腹」(1962年公開)とは別物と捉えたほうがいいでしょう。

RealD

最近3D映画作品が多くなった!

様々な上映方式の映画館がある数だけ多種多様な3Dメガネが存在する(熊本は3種)

TOHO(光の森etc)・・・MasterImage3D (マスターイメージ スリーディー)←韓国!そうなんだ!

ワーナーマイカル(嘉島イオンモール)・・・RealD (リアルディー)←アメリカ!うむうむ!

シネプレックス(大江グランパレッタ)・・・XpanD(エクスバンド)←スロベニア!なんで?

いまどきXpanDで3D作品を見ることなど考えられないものの上記2カ所の違いは、ほぼ無いと思う!

「どちらも円偏光型だからだ」

違いといえば送り出す側のハードの違いだけで観る分には同じである。

(ちなみに両シネマを一つのメガネで観賞している:笑)

欠点は、端っこなどがぶれて観える場合があるし、色も多少変色してしまう(泣)

だから・・・・・なるべく中央に座ったほうがベター!

←スクリーン側

←自分側

そもそも、映像自体を3Dにする必要があるのか甚だ疑問である。

日頃からメガネをかけない生活している自分にとって違和感バリバリ←XpanDメガネはホントに最悪でした!

立体映像を手に入れる代わりに映像の美しさ(解像度)は損なわれているし←変色して見えるから!

字幕は読みにくいし←スクリーン端っこはぶれてしまう!

わざわざそこまでして立体を強調しなくてもいい作品が多いし・・・(トランスフォーマー3)

・・・と、もっと気軽で映画自体を楽しめる劇場や上映作品があればと最近常々想う。

やっぱり「映像」より「映画」ってことでしょう!(sim)

ディア・ハンター

1978年 アメリカ マイケル・チミノ作

ベトナム戦争を背景に描いた親友3人の青春ストーリー。

戦争によって精神を病む者・体を失う者様々である。

そんな体験を通しながら幼馴染の友人を想い・救う姿には感動させられる。

出兵前の結婚式や送迎パーティの華やかで楽しく、はめをはずした「遊興」

緊張感たっぷりの鹿狩りという「静寂」

非人道的な行為の連続という戦争が生み出す「狂気」

それぞれの狭間をマイケル(ロバート・デ・ニーロ)の視点でとらえられている。

親友の一人であるニック(クリストファー・ウォーケン)の名演はとても印象的で

主人公的存在といってもいいだろう。

明らかにデニーロより優れている。←とにかくかっこいいのだ!

あのすさまじい眼光はいったいどこからくるのだろうか。

スティーブン演じるジョン・サベージに関して言えばどこかで見覚えがある顔?と思っていたが

最後のシーンで、はっきり思い出された。

アンドレイ・コンチャフスキー作「マリアの恋人」である。

どちらかといえばこっちの方がベトナム戦争を背景にした名作といえるだろう。

特にキース・キャラダイン奏でる弾き語りはサイコーである。←劇場に掛けてほしい!

日常茶飯事な毎日は平穏の連続で退屈かもしれないものの戦争などという

事変があるとその日常はとても愛おしく思えるものである。

バーで一人酒をのむ帰還兵の後ろ姿とまなざしが戦争の悲惨さをよく描かれ

親友3人の運命を暗示しているところなどは、とても印象に残ったシーンである(sim)

水曜日のエミリア

2009年 アメリカ ドン・ルース作

アメリカは離婚社会というだけあって割り切り方も尋常ではない(笑)

しかし子供にとってご都合主義の日常などどうでもいいもの。

ただ、夫婦感や愛情といった気持の上では誰もが割り切れないもの。

悔い悩む女性をナタリー・ポートマンやリサ・クドローが名演している。

誰もが悩みあぐねた末

「あのころに戻れれば・・・・」と想う。

けして動き始めた歯車は戻ることなどなくなんとか気持ちの上で遅く回るのを見ているだけ。

そんなときに家族や両親といった新しい歯車がかみ合うことで

悩んできたギアも変化し次第に樂に想うことが出来るようになる。

そんな家族愛や苦悩をアメリカにおける現代病とリンクさせながらも命への尊びを表現した作品だろう(sim)

ロサンゼルス決戦

2011年 アメリカ ジョナサン・リーベスマン作

最近増えている侵略ストーリーの中の一作。

目的も相手も全てが不明のまま海兵隊である主人公の主観的視線ですすむあたりは、

自然と緊張感やラストエンディングへの期待も高まるもの!

この種の映画は決まってラストシーンにおけるがっかり度がひどく

納得のいくものはすくない。

この監督がとったエンディング?はそんな期待にも似た不安をみごとにスルーしている。

もう笑うしかないだろう・・・(笑)

言いかえればまだまだ序章ということなのだろうか・・・?

「ロサンゼルスの戦い」という題材をもとにしていると言うが日本はアメリカにとって脅威な国なのだろうか?

対日本を比喩的な扱いで映画化されることは良くあるもの。

あの有名な「猿の惑星」も比喩表現映画の代表作だ。

最近のVFXは技術がけた違いによくなり俳優いらずの傾向がある。

しだいに人間くささを楽しめるモノが減ってきたことからすれば

日本映画の邦画あたりが最近は面白く感じているのは自然なことだと想う。

技術の向上や使い方次第では本来の楽しみ方を失う結果となりそうだ(sim)

ラビットホラー3D

2011年 日本 清水崇作

トラウマを克服し普通の暮らしを送っていたキリコ。

ある出来事がきっかけでフラッシュバックしながら現実と妄想の世界へと徐々に入っていく。

キリコ本人も何とか現実の世界にしがみついているものの

次第にお互いの境界が無くなり妄想の世界へと呑みこまれていく。

そんな場面を絵本作家の父親が創る「人魚姫」を通して良く描かれている。

一般的に3D作品ともなれば臨場感を増すために立体感を主観的に用いるが

監督は映像構成を巧みに使い面白いカットとなっている。

(オープニングロールは特に面白い)←現在3D技術トップかも!

実際、手を伸ばして掴もうとしたのはこれが最初(笑)

今回、一番期待したのが音楽:川井憲次である。

様々なアニメーションミュージックを手掛け日本を代表する作家だ。

期待通りカメラワークとストーリーにマッチングした出来となっていた。

ラストシーンにおけるキリコの幸せな笑顔が印象に残った秀作だろう(sim)

ちなみにポスターに書かれたアリス的な要素は、全くない(笑)